診療科・部門

耳鼻咽喉科

乳幼児期には「聞く力と話す力」が養われます。この時期における両耳の難聴は「聞く力と話す力」の発達に影響を及ぼすことがあります。

当院母子センターでは難聴の早期発見と療育を目的に、聴覚スクリーニング検査をおこなっています。スクリーニング検査で要精査となったお子様は耳鼻咽喉科に受診していただき、各種の精密聴力検査などをおこなった後、難聴専門外来にて確定診断しています。お子様の難聴の種類や程度を検討した上で、療育が必要と診断された場合は難聴による二次的障害の改善を目指して、耳鼻咽喉科医と言語聴覚士が合同で治療とリハビリテーションをおこないます。また、指文字や日本語対応手話などのbody languageを取り入れながら「聞く力と話す力」のトレーニングをおこなう療育機関とも連携をとっています。

当院は難聴児を早期発見する体制が整備されており、新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関に日本耳鼻咽喉科学会より認定されています。また月1回、他施設の小児難聴診療機関(国立成育医療センター、順天堂大学、神尾記念病院、ノーサイドクリニック等)と合同で難聴児研究会を開催し、「聴覚と言語」の発達に関する討論をおこなっています。

補聴器装用

当部門で行っている検査

  • 母子センター:自動簡易聴力検査
  • 耳鼻咽喉科:精密聴力検査

聴力改善法の選択

  • 中耳手術
  • 補聴器装用
  • 人工内耳手術

診療内容

新生児聴覚スクリーニング

先天性難聴は新生児1000人に1人の割合で生じると言われています。以前より当院では難聴を合併する確率が高いNICU(新生児集中治療室)に入院されたお子様はAABR検査を施行しておりましたが、平成20年8月より希望者を対象に産科病棟にて出生されたお子様の新生児聴覚スクリーニングをスタートさせました。スクリーニング検査(自動OAEとAABRの二段階スクリーニング)にて要精査となった方は耳鼻咽喉科にて精密聴力検査と聴覚発達検査を行ないます。平成21年2月現在までの6カ月間に新生児聴覚スクリーニングを360人の方が受け、3人(0.8%)のお子様が要精査となり、耳鼻咽喉科を受診されています。

新生児聴覚スクリーニングの種類

自動OAE:自動耳音響放射スクリーナー

検査音に刺激された耳から生まれる反響音を検出して、機械が自動的に「正常(Pass)」または「要検査(Refer)」と結果判定をおこなう検査です。

AABR:自動聴性脳幹反応検査

検査音に刺激された脳幹部から生まれる電位を検出して、機械が自動的に「正常(Pass)」または「要検査(Refer)」と結果判定をおこなう検査です。

精密聴力検査

新生児聴覚スクリーニングにて要精査となった方はA棟2階にある耳鼻咽喉科外来にて耳内所見(外耳道胎脂、中耳貯留液など)を確認した後に精密聴力検査(BOA、COR、ABR、ASSRなど)をおこない、難聴の有無と程度について確定診断しています。

精密聴力検査の種類

BOA:聴性行動反応検査

BOA:聴性行動反応検査

おもちゃの太鼓の音などを聞いたときにお子様が「びくっとする」などの反射・反応の様子を観察する検査です。

COR:条件詮索反応聴力検査

検査音といっしょにライトアップされるぬいぐるみにお子様が興味を持ったあとに、検査音のみで聴力を測定します。

ABR:聴性脳幹反応

検査音(クリック音)に刺激された蝸牛神経と脳幹部から生まれる弱い電位(μV;マイクロボルト)と反応時間(m sec;ミリ秒)を検査します。低音から高音までの聴力評価は困難です。

ASSR:聴性定常反応

検査音(SAM音)に刺激された脳(脳幹部)が生みだすとても弱い電位(nV;ナノボルト)を検査します。低音から高音までの聴力評価が可能です。

聴覚発達検査

田中・進藤による聴覚発達チェックリストなどを用いて、お子様の月齢と音に対する反応や話すことばの状況を把握します。また、「聞く力と話す力」以外の発達状況も把握するため、乳幼児精神発達診断検査(津守式)などの発達検査をおこない、必要により当院小児科と連携して療育しています。

原因診断

画像検査

耳鼻咽喉科領域を専門とする放射線科医がCT、MRI画像を読影しています。

遺伝子検査

先天性難聴の少なくとも50%は遺伝子変異によることがわかっています。原因遺伝子検索では信州大学耳鼻咽喉科との多施設共同研究に参加しています。
(日本人難聴遺伝子データベースhttp://ent.md.shinshu-u.ac.jp/nancho/deafgene1.html )

療育

治療可能な伝音障害(耳小骨奇形、滲出性中耳炎など)は各種手術などを検討します。内耳性難聴など現在の医療では治療が難しいお子様は補聴器装用により聴力改善をおこないます。また、両側高度難聴のお子様については人工内耳手術による聴力改善を検討します。

母子センター病棟における診療内容

母子センター病棟での耳鼻咽喉科診療はありません(母子センター病棟で施行されている聴覚スクリーニング検査はNICUについては小児科、産科病棟については中央検査部で実施していただいております)。 なお、精密聴力検査は耳鼻咽喉科外来にて施行しております。

耳科手術実績

手術内容 H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度
鼓室形成術 169 175 146 142 166 146 176 集計中
あぶみ骨手術 11 21 8 12 9 14 13 集計中
人工内耳手術 0 2 5 0 1 2 4 3

(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室のホームページhttp://www.jikei-ent.com/より一部改変)

聴覚言語リハビリテーション

聴覚言語リハビリテーション

A棟3階にある専用の言語聴覚療法室にて補聴器・人工内耳装用下での聴覚リハビリテーションをおこなっています。また、必要に応じて言語や発達の検査および言語獲得を促すためのトレーニングをおこなっています。

母子センターに関わる診療スタッフの紹介

宇田川 友克 医師 宇田川 友克(うだがわ ともかつ)
1998年(平成10年)東京慈恵会医科大学卒業
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
補聴器適合判定医師
補聴器相談医
新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査に関する講習会受講終了
04-0394.jpg 医師 力武 正浩(りきたけ まさひろ)
2000年(平成12年)東京慈恵会医科大学卒業
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
補聴器適合判定医師
補聴器相談医
澤田 久美子 言語聴覚士 澤田 久美子(さわだ くみこ)

1999年(平成11年)北里大学卒業
今川 記恵 言語聴覚士 今川 記恵(いまがわ のりえ)
2008年(平成20年)愛知淑徳大学卒業